佐藤のこなみかん

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■ 鉄腕アトム(1963) 22話、アトム死す

鉄腕アトム(1963)22話 海蛇島の巻 絵コンテ手塚治虫&虫プロ演出部

 

今回は冒頭でお茶の水博士によってアトムのスペックや機能が細かく解説されます。

胸に電子頭脳があるために頭は取り外し可能、飛ぶ時に足は変形してジェット噴射モードへ移行するなど、もはやお馴染みの機能の数々が今更紹介され、「アトム7つの力」と呼ばれる特殊能力(?)もここで初めて詳しく語られます。

以下がその7つの能力。

 

1 力が十万馬力

2 目が懐中電灯のように光ってサーチライトになる(かなり不気味で絵ずらが好き)

3 高度計算、60か国語の翻訳などが出来る

4 人間の心が読めて悪人かどうかすぐわかる

5 耳が1千倍に聞こえる

6 ジェット噴射で空が飛べる

7 腰からマシンガンが出る

 

ふむふむって聞いていたので思わず爆笑しました。(笑)

 マシンガンってなんだよ!何に使う気なんだよ!お前今までそんな描写(多分)なかっただろ!

しかも腰からって言っておきながら画面で見る限りなんかお尻の辺りから出てるんですけど!なんか結構嫌な感じの攻撃みたくなってますけど!

いやぁ、さすが人類の技術の結晶ともいうべきアトム。恐ろしい機能が搭載されていました。まぁよく考えたら動力源が原子力な時点でマシンガンが装備されてるより遥かにヤバいので気にするだけ無意味かもしれません。

ちなみに、アトムって今までの感じだと足のジェット噴射を攻撃にもよく使ってて、相手に近づかれそうになってピンチ!って時に脚を前に突き出してジェット噴射のバーナーで相手を吹っ飛ばすのをよくやってるイメージがあります。肉弾戦主体で非武装のアトムに使える唯一の武器みたいな感じで俺はこのジェット噴射攻撃が大好きだったんですが、まぁマシンガンあるなら使えよってなりますよね、はい。

ただ、マシンガンは装備されているけども、自分としてはあまり使いたくはない。まぁアトムがそんな風に感じててあえて使ってないという考え方も出来るかもしれませんね。

 

 「だが皆さん、アトムは決してこの7つの力を自慢して使っているわけではないのです。

 アトムも普段は出来るなら普通の子供と同じように遊んだり学んだりして暮らしていきたいのです。アトムは時々、寂しくなります。

 それは人間たちがアトムをロボットだからという理由で仲間はずれにしてしまうからです。

 どうして仲間外れにされるかって?それは人間に出来ないことが出来すぎるからです。」

 人間の子供たちがダイビングをして遊んでいる横で、一人崖の上に体育すわりをしてぽつんと背中を見せているアトム。一応これまでも犯罪者やら怪獣やら宇宙人やらと戦い、新聞やニュースにも載り世界各国にその名が轟いていましたが、そんなアトムも実際は寂しい。悲しい描写です。言われてみるとここまで大人やロボットの知り合いや友達は多く作りましたが、人間の子供の友達は本当にごく少数でした。この辺の子供がアトムを何となく遠ざけてるみたいな描写ってある意味リアルなのかもしれませんが、でも本当にそうなるのかな?っていう子供を信じたい気持ちもありますけどね。後の藤子・Fのドラえもんとかだと子供たちがドラえもんに対して、そういうの全然区別なく接してる感じがありますし(ドラちゃんは割とポンコツだからかもですが)。とりあえずアトムがしょんぼりしている姿は悲しいのでした。

 

そして、この話ではこの後アトムを人間と勘違いした女の子アンナと友達になるのですが、その子を守るためにロボットが本来活動出来ない塩分濃度の高い海底地域で無理をしたために、アトムは全身錆びだらけになり機能が停止。アトムはお茶の水博士の元へと送られ体の修理が行われるのですが、アンナはアトムを完全に死んだと思ってしまいます。

1年後、アトムの修理は完了するのですが、そのころにはアンナの中でアトムは死んだ友達となっており、今更ロボットだと打ち明けたら逆に裏切られたと思ってしまうのではないか、という周囲の意見により、アトムは物陰からアンナを見送るだけにとどめます。アトムは大切な友達と会うことが出来ず、ただただうなだれるのでした。

 

 なんかもう踏んだり蹴ったりな悲しいお話です。アトムのまた違った側面を見ることになりました。文章だと伝えるのが不可能なのですが、アトムの落ち込み方の描写が素晴らしいです。主人公が悲しいときに見てるこっちも悲しくなるって冷静に考えると凄いことですよね。

ロボットとヒト、心にはなにか違いがあるのか。しょぼくれてるアトムを見ているとそんなことを感じます。