佐藤のこなみかん

アニメのこなみかんを書いていきます。ほんとにこなみかんです。

鉄腕アトム(1963)をちびちび見てたまに紹介。52話 地球最後のクリスマス (ロボットアニメ要素てんこ盛り回!)

鉄腕アトム(1963)52話 雪ライオンの巻 脚本:鈴木良武(五武冬史) 絵コンテ:山本暎一 放送日:1963年12月24日

今日は待ちに待ったクリスマスイブ。アトム家ではクリスマスイブには毎年特別なクリスマスパーティーが開かれるようだ。それは、いつもはロボット博物館に展示されている、過去に人類に多大に貢献した英雄ロボットにその日1日だけエネルギーを入れ、アトムの家に招待するというもの。アトムとお茶の水博士、ヒゲ親父先生の3人は、ロボット達を迎えに博物館へとやってきた。

「アトムもいつかはここに仲間入りするんでしょうなぁ」

若干げんなりしているアトムを尻目に、博物館で大盛り上がりするお茶の水博士とヒゲ親父先生。しかし、そこに突如大窓をぶち破り、外から雪が雪崩のように押し寄せてくる。

「博士!この雪は動いていますよ!」

動く雪は街中へ広まり、街のロボットや機械にのみ襲い掛かり、雪に覆われたロボット達はその全てのエネルギーを吸い取られてしまう。どうやら人は襲わず、機械のエネルギーだけを喰らいつくす雪のようだ。家でパーティーの準備をしているはずの家族を案じすぐさま飛び行くアトムだったが時すでに遅く、父、母、妹は動かぬ機械人形とされた後だった。雪は刻一刻と空から降り積もっていき、街からあらゆるエネルギーが奪われていく。この状況でもアトムだけは雪に触れているにも関わらずまだ無事であった。どうやら、アトムのエネルギーは強力すぎるために雪にも奪うことは出来ないようだ。

「ママとパパとウランがあんなことになっちまってアトム、悲しいじゃろうがこれも人間のためだと思ってなぁ。頼んだぞぉ!」

雪を降らしている何者かが空にいるに違いない、と唯一動けるアトムを上空の調査へ向かわせる。街の上空にたどり着いたアトムの前には、膨大な数の円盤が空を漂い、雪を降らせていた。街の上空はすでに完全に制圧されていたのだ。

驚愕するアトムに円盤から一体の猛獣が襲い掛かる。雪ライオンとでもいうべき白い猛獣と激しい空中戦を展開するアトム。しかし、動く雪である雪ライオンには物理攻撃が通じない。

「しまった、エネルギーが…僕のエネルギーが吸い取られていくぞ…!」

その上、雪ライオンだけはアトムの強力なエネルギーも吸収出来るようだ。アトムは雪ライオンを引き離そうとするがエネルギーを吸われている状態では猛獣の体を引き離せない。エネルギーを急速に失い、組み付かれたままアトムは空中から地面に真っ逆さまに急降下していく。

「最後の力だ…!これでどうだ…!」

残るエネルギーを使い切り反撃に出るアトム。足のジェット噴射により雪ライオンを吹き飛ばすことに成功するが、そのまま力尽き地面へと落下してしまう。

アトムはボロボロになりながら何とかお茶の水博士のところまでたどり着き街の空が異星人の円盤で覆われていることを報告する。しかし、そこに雪ライオンとそれを従える異星人が現れる。異星人の目的はやはり地球の侵略であるようだ。雪ライオンに立ち向かおうとするアトムだったが、先ほどの戦いですでにエネルギーを使い果たした体ではどうすることも出来ない。

遂にアトムも雪ライオンの前に敗れ、その機能を停止してしまう。

「聞け!地球人よ!機械の力を奪われたお前たちを征服するのは赤ん坊の手をねじるより優しいことだ!やがてリーゲル星より遠征隊が到着しよう!地球最後のクリスマスを、この白い雪の中で震えながら存分に楽しんでおくがいいわ!」

この雪の中で唯一活動の出来たアトムを失い、人類は反撃する術を失った。いずれやってくる侵略部隊に対しなす術はない。お茶の水博士は今日が人類最後に日になることを悟り、力尽きたアトムを抱えロボット博物館へと赴く。せめてアトムを人類に大きく貢献した名誉あるロボットとして称え、そしてこの場で一緒に朽ちようというのだ。降りしきる雪が街の全てを飲み込んでいく中、多くの英雄に囲まれながら、お茶の水博士は一人涙を流す。

 

お茶の水博士…)

お茶の水博士…)

お茶の水博士…)

お茶の水はかせ…)

(おちゃの水博士…)

どこからか、お茶の水博士を呼ぶ声がする。それも一人二人の声ではない。何十、何百もの呼び声がロボット博物館の中に木霊し響き渡る。かつて人類のために尽くした無数のロボット達が、お茶の水博士に語り掛けているのだ。その声の中には、聞き馴染んだ愛しきアトムの声もあった。

 お茶の水博士、なぜ望みを捨ててしまうのですか」

「博士はもう人間の幸せを守る勇気も、力も、誇りも失くしてしまわれたのですか」

「僕は挫けませんよ!地球を守るんです!博士、僕にエネルギーを作って下さい…!雪に負けない、力を下さい…!お茶の水博士!」

 ここにいるロボット達は、己の役目を果たし終え博物館へ飾られ、エネルギーなどとうに尽きているはずであった。しかしその心には、今なお人間を愛するエネルギーが宿り続けていた。ロボット達の心の声が、お茶の水博士を再び立ち上がらせた。

「アトムや、ロボット達の心の声じゃ…。わしゃ…わしゃぁ人間のくせになんと恥ずかしいことじゃわい…!」

お茶の水博士はすぐさま研究所へと走り出す。あらゆる機械が使えないのなら、まずは木をこすって火をおこす、石をうって火をおこす、ヒトはそうしてエネルギーを生み出してきた。人間の用いる原初の科学が、今アトムへのエネルギーを生み出していく!

果たして、人類は最後のクリスマスを乗り越えられるのか!?

 

 

いやぁ、なんというか完全に劇場版というような大盛り上がりで物凄く楽しかったです。45話くらいから一匹の恐竜と冒険したり、謎の巨神像と戦ったり、拾った像の子供を助けてサバンナを大冒険したり、後の劇場版ドラえもんかなと感じる話が連続していたのですが、このお話はもう完全にロボットバトルアニメです。「力を下さい!」とかアトムで聞くことになりませんでした。今ではもはやお約束とか言われてしまうこの流れですが、もうこの頃からもあるんですね、感動です。

話だけでなくて作画もとんでもなく素晴らしい。振り散る雪の作画、アトムと雪ライオンの空中戦の構図、泣き崩れるお茶の水博士の悲壮感に溢れた表情などなど、時代を超越する作画といった感じで圧巻です。雪がチラチラ降る絵があまりに見事で灯篭流しの回を思い出したので多分山本暎一さん担当なのかなと思っていたらやはりそうでした。このお人、後の宇宙戦艦ヤマトシリーズの監督だそうなので今後ヤマトを見るのが楽しみになります。

あとエネルギー満タンになって元気100倍になったアトムが飛び立っていく時、

博物館の天井突き破って飛んでってるんですけど、そこがまた最高。(笑)

アトムってどうしてか頑なにドアを使おうとしないので悪者の建物ではまず間違いなく壁に穴開けて通るし、たまに普通の民家のドア開けてると「アトムがドア使ってる!!!??」と驚愕する有様なのですが、この話でついに博物館までぶっ壊していきました。(笑)

 ま、まぁ地球が最後のクリスマスになるかどうかの一大事だからね、天井の一枚や二枚は仕方ないね…。”壁は突き破るもの”という熱血ロボットアニメのポリシーを貫き通していくアトムはほんと可愛いです、はい。

あと今回の脚本はwikiによると僕でも名前を知っている 五武冬史さんらしいです。後に富野監督や辻真先先生も参加していくはずですが、この二人より先に五武さんが参加しているんですね。なんかもう天上の戦いすぎて凄い以外の感想が出てこなくて凄いです。

それでは今日はここまでで、ではまた!