佐藤のこなみかん

アニメのこなみかんを書いていきます。ほんとにこなみかんです。

鉄腕アトム(1963)をちびちび見てたまに紹介。 64話 足が飾りなわけないだろ!

鉄腕アトム(1963)  第64話 コウモリ伯爵の巻 演出:坂本雄作

チックとタックのコンビは山の中で迷っていたところ霧に囲まれた洋風の村にたどり着く。

一晩止めてもらえないかと家々を回る二人だったが、どの家からも何の反応もない。何かのまじないなのか、どの民家の戸にも何故か十字架とにんにくの花が飾ってある。

なんて冷たい村なんだ、と訝る二人は町はずれに寂れた洋館があるのを発見する。覗いてみると中はすっかり荒れ果てており、今は誰も住んではいないようだ。

二人は一晩ここで過ごすことにする。しかし、二人がもう寝ようというとき、部屋の隅の棺が静かに開いた。

 今回は恒例(?)のホラー回です。出だしからホラー演出が存分に使われていて、これでもかという程、気合が入っているのがビンビンと伝わっています。

アトムも60話超えてくるとさすがに「この話はどうでもいいかなぁ」って感じてしまう話もかなり出てきて、そういう話ってもう開始数分の出だしでそう思ってしまうのですよね。僕も普段ストーリーがどうとか脚本がどうとか偉そうなこと言ってるわりに”起承転結とは要するになんぞや”ってことが未だによく分かっていないのですが、こういう出だしからグッと引き込まれる話を見ると、やはり”何か”違いはあって、それはとてつもなく大きいのだなと感じます。違いはあることは分かるが具体的に何が違うのか分からないっていうのが今の段階なので、アトムを見ていく上でそこも掴めるようになりたいなと思います。

 

二人組のうち、臆病者で太っちょのタックはなんとか逃げ出すことが出来た。タックは日本にいるヒゲ親父とアトムに助けを求めた。ヒゲ親父先生とアトムはすぐさま村へ駆けつけ村人への聞き込みを開始する。

この村は江戸時代に幕府に弾圧され逃げ込んだ隠れキリシタンの部落なのだという。その頃から吸血鬼伝説が存在していたが、最近はめっきりそんな話も聞かなくなっていた。

しかし、10年ほど前にこの村で姿を消した科学者が、最近またこの村で目撃されたという。それも、10年前とそっくりそのままの姿で。

同時に、村の中から一人、また一人と夜ごとに消失する事件が起き始めた。吸血鬼とは、その科学者なのか。それとも本当に吸血鬼だというのか。それを確かめるため、アトム、ヒゲ親父先生、太っちょのタックの3人は洋館へ向かう。

 

ここから館の探索フェイズなんですけど、いやー演出というか、雰囲気が素晴らしい。(笑)完全にもうホラー映画とかホラーゲームのノリです。ついでに懐中電灯代りに白目で目からライト灯してるアトムもめっちゃ怖いです。(笑)

あと、ここでその謎の科学者というのはお茶の水博士の昔の友人であったことが判明します。お茶の水博士って謎なくらい交友関係が広くて、悪者として出てくる学者でも良い人として出てくる学者でもほぼ知り合いだったりするのですが、この回でさすがにそろそろ思いました。

 お茶の水博士危険人物の知り合い多すぎだろ。(笑)

 まぁ「君ほどの科学者がなぜこんな馬鹿なことを~」ってよく言ってるので、悪いことしてる科学者も友人だった頃は皆、立派な科学者だったのだろうとは思うのですが、さすがにそろそろこのお爺ちゃんも大丈夫なのかしらと少し不安になってきました。作中のその辺のゴシップ記事とかに「科学省長官、世界中の悪の科学者と繋がりがあり」とか書かれてそうです。

 まぁ悪の科学者と旧友だったりする反面、その存在を知った時に一番怒ってるのも常にお茶の水博士なので、この辺は人柄がよく表れていると思います。科学を愛する人とはだれとでも友達になりたいと思うけど、それが人の道に反していたらたとえ旧友だろうがなんだろうが怒って止める。それがお茶の水博士なのでしょう。

 

 館を隅から隅まで調べた3人だったが、特に成果はなかった。すっかり夜になってしまい、3人は今夜はもう休むことにする。

吸血鬼は見当たらないが、ではチックはどこへ…

相棒の身を案じるタックの元へ、遂に闇の中から吸血鬼が姿を現す。タックの悲鳴を聞き、すぐさま駆けつけるアトム。吸血鬼とは、やはり例の科学者、フェダンその人であった。フェダンは身に着けた指輪から溶解液を発射し、アトムを溶かそうとする。アトムは溶解液を潜り抜け、フェダンを組み抑えることに成功した。

吸血鬼を捕まえ、あとは攫った人の居場所を吐かせば一件落着

思わず安堵する3人だったがフェダンはしぶとく、捕まった状態からアトムの脚をめがけて溶解液を発射した。アトムは脚を失い、その場で立ち崩れて身動きが取れない。髭親父先生はフェダンを拳銃で撃つが、フェダンには銃弾も通用しない。

フェダンは拘束を解き、アトムへトドメを刺そうとする。足を失ったアトムはどうすることも出来ない…!

 

アトムの足が溶かされるという中々ショッキングなシーンとなっております。普段人間とあんまり変わらない様子なだけに、たまに首外れたり足溶けたりすると本当にビックリしますね。

ちなみにこのお話はここまででまだ半分で、この後は偶然にも鶏の鳴き声とともに朝が来てフェダンは闇の中へと消え去り、足を失ったアトムを直そうとお茶の水博士率いる科学省の皆さんの悲しみの徹夜突貫修理作業が展開。

アトムの足が遂に直ったあとは、

これどこのジョジョ3部?

と思わず感じてしまう、マンホールを使った吸血鬼との決戦。この話は密度が濃くて素晴らしいですね。このまま全部書いていきたいところですが、密度が濃すぎて書く時間がなくなってきたので今回はここまでで。(笑)

このお話の印象はストーリーに関しては「面白いけどもベタ」といったところですが、作画の綺麗さとホラー演出が本当に素晴らしいと思います。こういう回を見るとアトムって凄いアニメだったんだなと心底思います。

昨今はアニメ業界の労働の過酷さ(というか無法地帯さ)が非常に問題視されていて、その元凶となったとされる手塚治虫氏とこの鉄腕アトムの製作模様も話題にあがることが多くなりました。そういう点を踏まえるとアトムも手放しでは楽しんではいられない部分はあるのかなとも感じるのですが、それでもやっぱり見てると素直に、

面白いなぁって思ってしまうんですよね。

とても複雑な立場にいながらアニメを見ているのだということを少し感じてしまいます。

 それではまた!